フカフカまくら

「友達は多いほうがいい」
どこで仕入れてきたのかさっぱりわからないが、幼い頃から信じて疑わなかった思想の一つだ。

背が伸びるほどに、歯が生え変わるごとに、靴が入らなくなるごとに、わたしの中でその思想はみるみる、音も立てずに大きくなっていった。

友達は多いほうがいい
友達、とはどの程度親しいものなのか、
多い、とは何人くらいなのか、
いい、とはなにがどういいのか、
そんなこと全く知らないし、考えもしない。盲信して、疑いもしない。
でもそれは、わたしの中での一つの確信であったのだ。
多くの人から認められるものは、当然良いものだ。多くの人から求められるものは、価値のあるものだ。

わたしは自分に、価値が欲しかった。

多くの人に認めてもらうこと、良いものだと思ってもらうこと、そうすることで胸に勲章を掲げることができると思っていた